マリアのイコン

やさしさの中に見える「ほんとうの愛」

あなたは、マリアの絵(イコン)を見たことがありますか?
静かでおだやかな表情の女性が、小さな子どもを抱いている――そんな絵です。
その子どもこそ、イエス・キリスト。
マリアは「神の母」と呼ばれますが、マリアそのものを拝むための絵ではありません。
むしろ、マリアはわたしたちに「この方を見て」と、やさしくイエスを指し示しているのです。

傷ついた心に寄り添う、マリアのまなざし

人の心はとても繊細です。
女性の中には、男の人に対して苦しい思いを抱えている人もいるでしょう。
それは、過去に男子からいやな思いをさせられた経験かもしれません。
または、お父さんや身近な男性の言葉や態度に、心が傷ついたことがあるのかもしれません。

そんな人にとって、「父なる神」とか「イエスの愛」という言葉を聞いても、
すぐには心に入ってこないことがあります。
そんなとき、マリアのイコンは、そっとその心に寄り添ってくれるように感じられるのです。

イエスをやさしく指し示すマリア ――ホデゲトリア型イコン

たとえば「ホデゲトリア型」というイコンでは、
マリアは幼いイエスを片手で抱き、もう片方の手でその子を指し示しています。
マリアの姿が大きく描かれ、見る人はまず彼女のあたたかいまなざしに引きこまれます。
でも、その目線の先には、やさしく微笑むイエスがいます。

マリアの存在は、わたしたちがイエスのもとへ向かう道を、
おだやかで安心できる光で照らしてくれるようです。
イエスの力は、命令や支配のようなものではなく、
傷をいやし、心を包み込む「やさしさ」として描かれています。

ふたりの頬がふれる――エレウサ型イコン

もうひとつ、「エレウサ型」というイコンでは、
マリアと幼いイエスが、頬と頬を寄せ合っています。
そこには、母と子の深い愛情、
そして「信頼してもいいんだよ」という静かなメッセージが込められています。

マリアを通して見るイエスの姿は、
わたしたちを叱る人でも、裁く人でもありません。
むしろ、安心して寄りかかれる存在。
マリアは、そのことを身をもって教えてくれているのです。

マリアのイコンを身近に置くということ

マリアのイコンを部屋に飾ってみると、
そのやさしいまなざしが、いつも静かに見守ってくれるように感じるかもしれません。
落ちこんだとき、だれかに理解してほしいとき、
その絵の中のマリアは、何も言わずに「大丈夫」と語りかけてくれるようです。

マリアのそばには、いつもイエスがいます。
マリアを通して、ほんとうの愛――
力ではなく、やさしさで包む愛――に出会えるのです。

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