近代の「酒害」とクリスチャン
たしかに、お酒やタバコをたしなまないと公言しているクリスチャンや教会もあります。これは、主に18世紀ごろの欧米で、安価で質の悪いお酒が広まったことが背景にあります。その結果、健康を損ねるだけでなく、自分の人生、さらには家庭生活まで壊してしまう人が街中にあふれるようになりました。こうした悲惨な状況を目の当たりにしたクリスチャンたちは、苦しむ人々を助けようと立ち上がり、「人を助けるためには、まず自分たちがお酒を飲まずに模範を示そう」と決意したのです。そのため今でもお酒を飲まないキリスト教のグループは、おもにアメリカなどで多くみられます。
飲酒は「罪」ではない?
いっぽうで世界最大のキリスト教会であるローマ・カトリック教会などは、お酒を飲むこと自体が罪であるとは考えていません。実際、聖書にも、イエス・キリストがワインを飲むシーンが描かれていたりします。教会によりますが、クリスマスの食事会にお酒が出てくるところもあったりします。
飲み過ぎはよくない
ただしクリスチャンのほとんどは「飲み過ぎはよくない」と考えています。自分をコントロールできなくなり、他人に迷惑をかけるのは決していいことではありませんよね。
たばことキリスト教
たばこはアメリカ先住民族がたしなんでいたものであり、15世紀以降にヨーロッパに広まったので、遅くとも2世紀前半には書き終えられていた聖書には出てきません。このため、たばことキリスト教信仰は直接関係ないと考えるクリスチャンが多くいます。
禁煙の理由
他方で、アメリカなどでは禁煙を強くすすめるキリスト教会もあります。これにはいくつかの理由があるようです。たとえば、経済的に厳しい状況に置かれている人は、健康面でも家計面でも禁煙した方が生活改善につながる場合があります(たばこ代って、決して安くありませんよね)。こうした人たちを助けるために、自ら模範を示す意味で禁煙するクリスチャンもいます。
信仰にも有害?
あるいは、たばこの依存性は信仰に悪影響を及ぼすと考える人もいます。こうした考えを持つ人の中には、たばこだけではなくカフェインも同じように避ける人もいます。わたしたちの身体は神がくださったものであり、少しでも損なうようなことは控えようと考えるクリスチャンは少なくありません。
お酒とたばことクリスチャン
お酒やたばこなどに対する考え方は、宗派や教会、あるいはクリスチャン個人によって異なります。ぜひいろいろな意見を聞いて、参考にしてくださいね!
キリスト教とお酒あれこれ①
お酒に最も厳格なのは「救世軍」と呼ばれるプロテスタント教会です。
そのルーツは18世紀にイギリスで開始された「メソジスト」と呼ばれるキリスト教のグループです。メソジストの流れに属する現在のプロテスタント教会の中には、今でも飲酒をなるべく(あるいはまったく)しないところがあります。
救世軍は、飲酒問題を抱えた人々の援助活動も行っています。家族や自分のお酒の問題で困っている人はぜひ、近所の救世軍小隊(教会)に相談してみてくださいね。

キリスト教とお酒あれこれ②
19世紀にアメリカで生まれたキリスト教系グループ「モルモン教」(末日聖徒イエス・キリスト教会)は、お酒はもちろん、コーヒー・お茶などカフェインも取りません。エビ・イカ・タコも食べません。もしモルモンの知り合いの家へ持ち寄りでお茶や食事に呼ばれたら、「麦茶」を持っていくといいでしょう。
また、やはり19世紀にアメリカで生まれた「セブンスデー・アドベンチスト教会」も同じように酒・カフェイン(およびタバコ)を避けることを勧めています。
いずれの教会もアメリカを中心に世界各地で定着しており、カルトではありません。
ほかのキリスト教会とも、ことがらや状況に応じて対話することがあり、穏やかなキリスト教の一派と見なされています。
