布教のしかたあれこれ
キリスト教といってもさまざなグループがあります。そのなかには街中で人に声をかけたり、家々を回って勧誘しているところもあります。宣伝カーを走らせている団体もあれば、近所の各家庭へしょっちゅうポスティングする教会もあります。
おくゆかしい教会
いっぽうで、そういった目立つ布教はせず、控えめな形の活動しかしない宗派もあります。ホームページもなければSNSも一切していない教会はたくさんあります。礼拝堂があっても集会を開いているのかいないのかわからない、玄関が開いているのをめったに見たことがないような教会もあります。さすがに今の時代、それはちょっとどうかと思いますが。
クリスチャンも人それぞれ
また、ほとんど対外活動をしない教会であったとしても、その教会のメンバーは「神のことを知ってほしい」と思って、周囲の人たちに信仰の話をする場合もあります。でもそれは「知りたくない人に無理やり押しつける」ということではありません。自分がいいと思っているものを、他の人にもぜひ知ってほしいという気持ちで言っているだけなんです。ことわってもぜんぜん大丈夫です!
キリスト教もいろいろ
キリスト教にはいろいろなスタイルがあるので、何だか合わないなと思う教会へ無理に足を運ぶ必要はまったくありません。実際に教会へ行くか行かないかはあなたの自由です!
積極的な宣伝をしているキリスト教①
駅前などでパンフレットやタブレットを掲げて「聖書を学びませんか」と勧誘しているのは、19世紀にアメリカで始まったキリスト教系新興宗教「ものみの塔聖書冊子協会」(エホバの証人)です。2人以上で家々をアポなしで訪問し、聖書の話をしているのもここです。
エホバの証人については、キリスト教内部で意見が分かれます。エホバの証人は他のキリスト教会を一切認めないので、「キリスト教」どうしとして、カトリックやプロテスタントなどとは協力関係にありません。
輸血拒否や、体育・音楽の授業を拒否するのもこのグループです。2022年の安倍晋三元首相襲撃事件に関連し、いわゆる「宗教2世」が問題になった際に、旧統一協会と並んで話題になったのもこの「エホバの証人」でした。
内情については、信者の子どもが自身の体験について証言している書籍が数多くあります。
積極的な宣伝をしているキリスト教②
スーツを着用し、名札をつけ、ヘルメットをかぶって自転車に乗った2人組の青年(多くはヨーロッパ系)から声をかけられたことはありませんか?
これは「末日聖徒イエス・キリスト教会」(通称「モルモン教」)という、19世紀にアメリカで始まったキリスト教のグループです。
いわゆるプロテスタントやカトリックとは異なり、聖書だけでなく「モルモン書」という別の書物も聖典としているため、歴史観や世界観が伝統的なキリスト教と相違する部分があります。
アメリカのユタ州はモルモン教が「開拓」した地域です。州都ソルトレークシティーにはモルモン教の総本山にあたる神殿があります。
現在ではアメリカ生まれの穏和な新興宗教と見なされており、カルトではありません。
有名人では、ビジネス書のベストセラー『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーがモルモン教徒です。『7つの習慣』を読むと、カトリック神父の言葉なども引用されているので、(少なくとも一般信者レベルでは)モルモン教がほかのキリスト教に対して必ずしも敵対的な態度をとっているわけではないことがうかがえます。
ただしアルコール、コーヒー、茶(紅茶はもちろん、日本茶も飲まない)などを摂取しません。といっても「健康志向」が盛んな現代ではほとんど問題にならないでしょう。(むしろ感心されるくらいじゃないでしょうか)
モルモン教徒の青年は、一定期間「宣教師」として外国へ行くことが奨励されています。そのまま派遣地に居着く人もいます。テレビでもおなじみのケント・ギルバート、ケント・デリカットがそれにあたります。
