聖霊の物語

目次

イエスの約束

イエス・キリストは復活後、弟子たちに現れ、天に昇る前にこう約束しました。「聖霊があなたがたに下ると、あなたがたは力を受ける。そして地の果てまでわたしのことを証しするようになる」。イエスは弟子たちに、エルサレムにとどまり、聖霊が与えられるのを待つようにと言いました。

イエスとのつながり

イエスは十字架で死ぬ前から、弟子たちに「弁護者」や「真理の霊」と呼ばれる存在、つまり聖霊を送ると約束していました。そしてイエスは復活後に弟子たちに会い、「聖霊があなたがたに降ると、わたしのことを世界の果てまで伝えるようになる」と改めて約束しました。これは、特別な学歴や地位のない弟子たちでも、聖霊の力を受けてイエスの教えを大胆に語れるようになるという意味です。

イエスの約束による聖霊

実際、イエスの弟子たちの多くは、当時の社会で高い地位についていたわけではありませんでしたし、教養ある階層だったわけでもありませんでした。たとえばのちに「初代ローマ教皇」とされるようになったペトロは、パレスチナの辺境の湖で漁をして暮らしていた、ごくふつうの漁師でした。それでもイエスはこうした人々を弟子に選び、復活後に「わたしの教えを伝え広めなさい」と命じたのです。

しかしイエスは、彼らを何も助けずに放り出したわけではありませんでした。「聖霊をあなたがたに与えるから大丈夫だよ」と約束し、弟子たちを支えてくださる計画を立てていたのです。

弟子たちの人生が変わる

もっとも、最初のうちは弟子たちにもイエスの真意がはっきりとはわからなかったことでしょう。イエスが逮捕されて十字架で処刑されたとき、弟子たちの多くは自分を守るために逃げてしまったものでした。つまり宗教的にも、それほど物わかりがいい人たちではなかったと思われます。

ところがイエスは復活して再び弟子たちの前に現れました。彼らはあまりの驚きで人生がひっくり返るほどの衝撃を受けました。さすがにイエスを信じ、すべてを受け入れ、従う気持ちになったと思います。

聖霊を待つ弟子たち

それでもイエスから「しばらくエルサレムにとどまって、聖霊が来るのを待ちなさい」と言われたときには、まだ彼ら自身も何が起こるのかしっかり理解できていなかったことでしょう。そうはいうものの弟子たちは、復活したイエスを信頼し、言われたとおりエルサレム(当時のユダヤ地方の中心都市)にとどまって待つことにしたのでした。

聖霊降臨

イエスの復活後50日目、弟子たちが祈るために集まっていると、突然、激しい風の音が天から聞こえてきました。そして炎のようなものが現れ、それぞれの頭の上に留まりました。この時、弟子たちは聖霊を受け、力を与えられました。すると、彼らはさまざまな国の言葉で話し始め、そこにいた人々は驚きました。この出来事は、聖霊が弟子たちに働き、彼らを新しい使命へ導いた瞬間です。

弟子たち、聖霊を体験する

イエスが復活してから50日目のある日、弟子たちは一緒に集まって祈っていました。すると、突然、強い風が吹き荒れるような音が天から聞こえ、炎のような光が彼らの頭の上にとどまったのです。これは、イエスが約束していた聖霊が弟子たちに降った瞬間でした。聖霊を受けた弟子たちは、不思議な力を与えられ、いきなりいろいろな国の言葉で話し始めたので、近くにいた人々はとても驚きました。

聖霊を受けるということ

このできごとは「50日目」を意味するギリシア語から「ペンテコステ」と呼ばれることもあります。またこのできごとは聖霊というものの働きの一つを物語として示しています。外国語を話すこと自体は外から見れば奇跡でも何でもありません。しかし弟子たちは、自分が知らない言語で話をするということを経験しました。つまり聖霊が内側から働きかけると、自分の能力や予想をはるかに超えたことができるということを体験しました。

新しく踏み出す力

またこのときまで弟子たちは、それほど勇敢にイエスのことをほかの人に話していたわけではありませんでした。しかし今や聖霊の働きでそれができました。聖霊が働いてくれるならば、自分でも思ってもみなかった新しい行動ができるようになることを弟子たちは実感したのです。

聖霊による伝道

聖霊を受けた弟子たちは、今までとは打って変わった大胆な態度で、病気の人をいやしたり、人々にイエスのことを語り始めました。弟子たちが布教の旅に出かけると、聖霊が「あの人に会いに行きなさい」「あちらへ行ってはいけない」と指示することもありました。

弟子たちの活躍

聖霊を受けた弟子たちは、それまで臆病になっていた様子から一転して、大胆に行動するようになりました。聖書には弟子たちが、エルサレム神殿の門の前で、生まれつき足の不自由な人をいやす場面が描かれています。人々はこの奇跡を見て驚きましたが、これを実行したペトロは「わたしたちの力ではなく、イエス・キリストの名によってこの人は歩けるようになったのだ」と語り、多くの人がイエスを信じるようになりました。

聖霊の指示

また弟子たちが各地へ出かけてイエスのことを伝えようとするとき、聖霊は「そちらに行きなさい」「あちらへは行ってはいけない」と具体的な指示を与えることもありました。弟子たちはこの指示を、神からの指示であり、同時にイエスからの指示でもあると信じました。ときには「あまり会いたくないな」と思った人のところへ行くよう聖霊に指示されることもありましたが、結果的にその相手がイエスを信じるようになる様子を見て、弟子たちの方が驚かされることになります。

行動力の源

こうして聖霊による力を受けた弟子たちは、病気の人をいやしたり、神殿や家庭、さらには唯一の神を信じない外国人の街まで出かけて行って、イエスが救い主であることを力強く語り続けました。聖霊は、彼らがどこへ行くか、誰と会うかをも導き、正しいタイミングと方法でイエスの教えを広められるように助けました。

もちろん何もかもうまくいったわけではありません。弟子たちはその道のりで迫害や困難にぶつかりました。それでも弟子たちは聖霊の指示により、精力的に布教活動をしていったのです。

教会の形成と聖霊

聖霊によって強められた弟子たちの活躍により、各地にキリスト教会が広まっていきました。新しくクリスチャンになった人の中にも、自分への聖霊の働きを感じる人々がたくさんいました。聖霊によって勇気づけられ、知恵を授かり、力を与えられ、信仰を持った人が次々と現れました。

パウロの登場

聖霊によって力づけられた弟子たちの活躍により、キリスト教は各地へと広がっていきました。そして、新しくクリスチャンになった多くの人々も、自分の心の中に聖霊のはたらきを感じていました。

この聖霊のはたらきをよく示しているのが、紀元50年頃、キリスト教会が誕生してから20年後くらいにクリスチャンとなったパウロという人物の生き方です。パウロはもともと厳格なユダヤ教徒で、イエスを信じる人々を迫害していました。しかし、ある日旅の途中でイエスの幻を見て、その体験によってキリスト教の信者へと大きく変えられます。

驚くべき活躍

それまで仲間だったユダヤ教徒から命を狙われるようになっても、パウロはあきらめずに各地を巡り、イエス・キリストが救い主であることを熱心に伝え続けました。彼の伝道の旅では、船が嵐で沈みかけるなど危険な状況が何度も起こりましたが、パウロはくじけずに布教を続けます。

その情熱はどこから

この強い情熱は、パウロ自身の努力だけでは説明できないほど大きなものです。キリスト教の伝統では、ここに「聖霊のはたらき」があったと考えます。現在でもキリスト教会は、聖霊を「教会を生かすエネルギー」と信じており、信じる人々にとっては心の内側から励ましや力を与えてくれる存在だと教えています。パウロはまさにこの聖霊から力を受け、苦難に負けず福音を広めようとしたのです。

聖書も聖霊から

こうしてパウロをはじめとする弟子たちの宣教活動によって、キリスト教は当時のローマ帝国全域に急速に広がっていきました。各地にイエスを信じる共同体が生まれ、のちに聖書へ収録されることになる、パウロの手紙や直接の講話を通じて信仰が深められていきます。現在に残されている、パウロやイエスの弟子たちの伝承にもとづくこうした聖書の文書も、聖霊の働きで書かれたものであるとクリスチャンは信じています。

聖霊は今も世界中のキリスト者を励まし、導いていると信じられており、これがキリスト教の大きな特徴の一つとなっています。

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